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第22回 「ざ・さんそうけん」 木越英夫特定フェローインタビュー 

先日、産総研の所内情報誌『ざ・さんそうけん』で、当センターの木越特定フェローと番外編で根本研究員が紹介されました。その記事を紹介します。

 

藻類がつなぐ架け橋!産総研と筑波大 クロスアポな先生へインタビュー

一昨年から始まったクロスアポイントメント制度のことをご存じでしょうか。産総研の職員が大学の職員を兼ねたり、大学の先生方が産総研の職員を兼ねたりして、双方の利点を活かして研究を推進していこう!という取り組みです。今回は、筑波大学から産総研にクロスアポイントメントされている木越先生にインタビューしました。大学では数理物質系化学域の教授をされています。

今回のクロスアポイントメントに関する経緯や動機を教えてください。

1ざ・さんそうけん木越筑波大では昨年から藻類バイオマス・エネルギーシステム開発研究センターという外部資金による開発研究センターを発足していました。そこへちょうど、クロスアポイントメント制度を活用して協力体制を深めたい、という話が産総研からあり、藻類の応用研究をより深めたいという筑波大の希望と合致した形で始まったと思います。

我々が行う藻類の研究では、化学的な見方と生物的な見方が求められています。生物の分野では筑波大の方が強いし、逆に工業化学的な見方は産総研が強い。お互いの強いところを繋いでいこうという形で進みました。その中で、筑波大の研究者で化学と生物の境界領域にいる私が産総研にお世話になることになりました。

実際の業務について教えてください。

業務としては主に二本柱でテーマがあり、一つは藻類から取れる天然有機化合物を高機能化させるために、触媒化学融合研究センターの官能基変換チームと協力して化合物を化学変換させるプロジェクトを行っています。そこでは、リサーチアシスタント制度(以下、RA制度)を利用して筑波大学の学生も産総研に雇用されています。もう一つは、藻類に含まれる天然有機化合物の生物活性を利用して製品化を行おうというプロジェクトを進めています。こちらは、クロスアポイントメントで産総研から筑波大に助教として採用されている佐々木先生が中心に研究を進めています。今後の研究次第ですが、特に期待されているのが、特定の藻類の精神安定作用成分を利用した抗ストレスの健康食品関連品です。感染症はペニシリンの発見で治るようになったし、抗がん性の薬も開発が進んでいる。そうしたら、残るは精神作用やストレス対策を考えていくことが必要になってくるだろう、と。今回の場合は、筑波大学で抗ストレス性のあるものを重点的に探していたこともあり、藻類の成分を色々調べる中で生物活性を持つことが分かりました。今後は、化合物レベルで「この物質がこの機能に関係している」ということを示す必要があります。私が今まで行ってきた研究はそうした化2.ざ・さんそうけん木越合物を特定させる分野ですので、これらが今後求められる役割になりますね。

藻類バイオマス・エネルギーシステム開発研究センターでは、その他にも生活用水を藻類の生物活性を利用して浄化するプロジェクトを行っています。私たちは化学物質に注目しているけど、見方によって藻類の活用方法も幅広く存在します。

大学に比べて、産総研の雰囲気はいかがでしょうか?

静かですね。当たり前ですが、大学は学生の人数の方が多いですし、研究所はプロの集団ですから。あとは、研究環境が広いなと思います。筑波大から産総研にRAとして来ている学生も、こんなに広い空間で実験していいのか、と喜んでいるという話を耳にします。それとe-ラーニングシステムなどを活用して、研修をしっかりしているなぁと感じました。筑波大でも参考にして取り入れたらいいんじゃないかな。研究倫理や安全管理に関することは、大学でも最近では特に問題視されているところなので。イントラページに掲載されている中鉢理事長の「中鉢通信」も読んでいますよ。

産総研に期待すること、または、良くなって欲しいというようなところはありますか?

大学での研究の出口にあたる企業連携の部分で産総研の力が加わることを期待しています。

最近では大学でも外部資金を取るように言われますが、ビジネス化に関してはプロではないですし、学部によって共同研究のしやすさも違っていてあまり組織的にはやっていないので。あとは、クロスアポイントメント制度において、今は出勤簿が日単位でしか管理できないので、例えば午前中は大学で講義をして、午後は産総研にくる場合などは出張扱いにしないといけないんです。なので、時間単位で勤務管理をできるようになればいいなと思います。

それでは続いてプライベートなお話も…。木越先生の趣味は何でしょうか。

木越最近はあんまり行けていないですが、野球観戦が趣味です。年間に10試合くらい見に行っていました。名古屋にいましたので、中日ドラゴンズのファンなんです。家族や応援仲間と行ったり、一人で行ったりします。ユニフォームも帽子も持っていますよ。メガホンを振って応援します。

あと、娘が2人いて、どちらも成人しています。2人とも理系に進みましたが、理学だけど分野は化学ではなく生物寄りですね。上の娘が修士を取った後に、産総研のテクニカルスタッフで4年くらいお世話になって、最近別の会社で正社員になりました。妻も理系です。大学の同級生でした。面白い話があって、昔、娘の友人の子に家族の会話を聞かれたことがあるんですが、「親子の会話で数字がたくさん出てきて、うちと全然違う!」と言われたことがあります(笑)。その子のお家はどちらかというと文系のご家庭だったんですね。特に理学の道に進んで欲しいと思って育てたわけではないんですが、暮らしている中で理系に洗脳しちゃったのかもしれないですね。

最後に産総研の研究者へメッセージをお願いします。

分野によって違うのかもしれないけれど、特に若い研究者の方は学会や勉強会などに参加して、名前を売っておくといいですね。研究者がグループを作ったり、勉強会を発足させる際に、研究所の人に入って欲しいということも多いし、連携大学院の制度を使って大学で講義を行うような時にも、研究者の名前を知っていると学生も参加しやすいですよね。交流がもっと進むよう、産総研に優秀で活力ある研究者がたくさんいることをアピールして欲しいと思います。また、クロスアポイントメント制度は今後より広く活用されるようになるでしょうから、産総研と筑波大の関係もより深くなっていくと思います。これからもよろしくお願いします。

4.ざ・さんそうけん木越

 

 

 

 

(研究現場にて木越先生を囲んでワンショット。左は取材に入った小塚、右は一緒に研究している根本さんです。和気あいあいでした。)

~番外編~

今回偶然取材日に実験室に居られ、木越先生と共に写真に写って下さった根本耕司さん。早速調べると出てくるではないですか、福島民報2014/07/26付、「科学者へのきっかけに 産総研研究員の根本さん 母校の原町高で実験、講話」。

.改番外編1.これまた素晴らしい活動です。福島県出身の根本研究員、震災後、科学者への信頼を取り戻したいと、福島の母校の後輩たちに科学の面白さを伝える活動をされていました。まさに「ざ・さんそうけん」な活動に感動しましたので、番外編として紹介します。
概要はお知らせ(http://irc3.aist.go.jp/news/post-13721/)紹介記事を参照ください。
(根本さん出身の原町高校にて実験講和しているワンショット:センターにて写真追加)

※「ざ・さんそうけん」:年4回(季刊)、第6巻第22号(夏号) P4-5 :2016年8月31日発行

 

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