第116回講演会 筑波大学 中村貴志助教、 北海道大学 百合野大雅助教
イベント名 | 第116回講演会 筑波大学 中村貴志助教、 北海道大学 百合野大雅助教 |
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期日 | 2025.01.10 |
詳細 |
産総研触媒化学融合研究センターでは、様々な分野で活躍している大学、公的研究機関、企業等の方々をお招きして、講演会を開催することで分野の垣根を越えた連携の実現を目指しています。多くの方々のご参加をお待ちしております。 日時:2025年1月10日(金)15:00~17:00 15:00~16:00 <講師>筑波大学 数理物質系 化学域 中村貴志 助教 配位結合は、形成/開裂が可逆であり、水素結合や疎水効果などの相互作用と比べて強い結合エネルギーをもつことから、分子認識のための有望な手段である。配位結合による分子認識の実現のためには、分子が結合する金属上の配位サイトを、適切な距離と角度で配列した空間を設計する必要がある。我々は、イミン結合の動的共有結合としての性質を利用して剛直な環状骨格を作り、その内側のキレート配位部位に金属を固定した大環状多核錯体を開発した。この錯体は、金属間の距離に一致する間隔で配位性官能基をもつ基質を、決まった位置と数で精密に捕捉する。本発表では、そのような大環状分子の合成・構造・分子捕捉能について紹介する。 16:00~17:00 <講師>北海道大学大学院工学研究院応用化学部門 百合野大雅 助教 シアニドは炭素・窒素からなる最小の分子状アニオンであり、その両末端が反応性を有するアンビデントな求核剤である。求電子剤に対して炭素末端が反応すると対応するニトリルが、窒素末端が反応すると対応するイソニトリルが得られる。しかし、炭素末端に存在するHOMOの軌道が圧倒的に大きく、ニトリルの形成が速度論的にも熱力学的にも有利である。そのため、有機化学の教科書においてシアニドはもっぱら「シアノ化剤」として紹介されている。もし、シアニドを窒素求核剤として化学選択的に活用する「逆転」導入法を実現できれば、化学空間を広げる大きな合成指針となる。本講演では、シアニドの「逆転」導入法の開拓の経緯と、資源としての活用について議論する。 |
備考 | 【問い合わせ先】 触媒化学融合研究センター 担当:白川 |