第44回講演会 株式会社豊田中央研究所 中野秀之主監
講演会名 | 第44回講演会 株式会社豊田中央研究所 中野秀之主監 |
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開催日 | 2017.05.12 |
開催場所 | 産総研第5事業所第2本館第4会議室(5-2-6603室) |
参加人数 | 34名 |
概要 | ◆SiおよびGeナノシートの創製と応用 炭素と同族元素であるケイ素を用いたシリセンは, 高速の電子移動度とエネルギーバンドギャップを併せ持つため, グラフェンを越える新材料として期待されている。しかし, シリセンは大気中で酸化分解してしまうことが, 大きな課題であった。中野博士は, シリセンの層間化合物CaSi2をiPrNH2・HClで化学処理し, 大気中で取り扱い可能なSi ナノシートを合成することに初めて成功した。また, この層状ポリシランを負極材料に用いると, 現行のリチウムイオン電池負極材料であるグラファイトの約5倍の容量を持つ二次蓄電を開発することに成功した。このSi ナノシート蓄電池は, フォークリフトを動かすほどのパワーを有し, 実用化に近い段階であることを紹介した。また, シリセン層を化学修飾することによって, BF4−アニオンが正極と負極の間を行き来するアニオン電池の開発にも成功した。この新しい畜電池はリチウムイオン電池では作動しない低温でも作動し, 冷凍貯蔵庫での使用等の応用が期待できる。また, 水素化したSi ナノシートは遷移金属イオンを選択的に化学還元でき, 特定の金属イオンの回収にも応用できることを明らかにした。また, CaSi2のCa層のみを選択的にフッ素化し, 同時にシリコン層の自発的な再構成を誘導して, 二層構造シリセンを化学合成することに成功した。得られた構造は, 化学的不安定性の原因となるダングリングボンドの密度がシリセンの25%まで低減され, 大気中でも安定に取り扱うことができる。最後に, 本研究で示した手法がゲルマニウムナノシートにも応用可能であることを示した。 炭素と同族元素であるケイ素を用いたシリセンは, 高速の電子移動度とエネルギーバンドギャップを併せ持つため, グラフェンを越える新材料として期待されている。しかし, シリセンは大気中で酸化分解してしまうことが, 大きな課題であった。中野博士は, シリセンの層間化合物CaSi2をiPrNH2・HClで化学処理し, 大気中で取り扱い可能なSi ナノシートを合成することに初めて成功した。また, この層状ポリシランを負極材料に用いると, 現行のリチウムイオン電池負極材料であるグラファイトの約5倍の容量を持つ二次蓄電を開発することに成功した。このSi ナノシート蓄電池は, フォークリフトを動かすほどのパワーを有し, 実用化に近い段階であることを紹介した。また, シリセン層を化学修飾することによって, BF4−アニオンが正極と負極の間を行き来するアニオン電池の開発にも成功した。この新しい畜電池はリチウムイオン電池では作動しない低温でも作動し, 冷凍貯蔵庫での使用等の応用が期待できる。また, 水素化したSi ナノシートは遷移金属イオンを選択的に化学還元でき, 特定の金属イオンの回収にも応用できることを明らかにした。また, CaSi2のCa層のみを選択的にフッ素化し, 同時にシリコン層の自発的な再構成を誘導して, 二層構造シリセンを化学合成することに成功した。得られた構造は, 化学的不安定性の原因となるダングリングボンドの密度がシリセンの25%まで低減され, 大気中でも安定に取り扱うことができる。最後に, 本研究で示した手法がゲルマニウムナノシートにも応用可能であることを示した。 |