第84回講演会 北海道大学 青木芳尚准教授
講演会名 | 第84回講演会 北海道大学 青木芳尚准教授 |
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開催日 | 2021.03.25 |
開催場所 | TeamsによるWEB講演会 |
参加人数 | 32人 |
概要 | ◆イオニックヘテロ界面による薄膜電気化学セルの設計 本講演会では北海道大学工学研究院の青木芳尚准教授に『イオニックヘテロ界面による薄膜電気化学セルの設計』という題目で研究の内容を発表いただいた。内容は、クリーンエネルギーである水素ならびにアンモニアを利用するセラミックス燃料電池に開発に関する研究であった。セラミックス燃料電池や全固体二次電池などの固体イオニクスデバイスでは、優れた物性を持つ電解質および電極 材料 同士 を組み合わせても、期待する程の性能が得られないことがよくあると説明された。その後、この現象は電極電解質-ヘテロ界面で生じる現象が、デバイス全体のイオン移動やポテンシャル分布形成に深く関与することを示唆していることも論じられた。燃料電池は一般的には電解質として酸素イオン透過型の固体材料を使用する傾向にあるが、青木先生のご研究の場合、プロトン透過型の固体材料に着目して使用していることに特徴がある。プロトン透過型の固体材料の場合、酸素イオン透過型と比べてイオン移動速度が高いという利点がある。加えて、約500℃の中低温領域で出力できることも議論された。 しかしながら、プロトン透過型の固体材料は電極にイオンブロッキングを引き起こす問題点があること提起された。青木先生ご所属の北大工学部界面電子化学研究室では、プロトン伝導性セラミックス金属電極-ヘテロ界面でのイオンブロッキングがデバイス性能に与える影響について、数値シミュレーションと実験を組み合わせた検討を行ってきたことを発表された。そして、プロトニックヘテロ界面が生み出す『正』の効果について紹介された。ご講演後は聴講者からの複数の質疑応答があり、セラミックス燃料電池の作動温度に関する質問や、『正』の効果についてのコメントをいただいた。最終的には、話題は今後の燃料電池分野の今後の動向や視野を世界に広げた議論がされた。水素ならびにアンモニアを利用する将来を想像しながら、双方の研究や連携などについてオンラインでの意見交換を行った。 |