イベントレポート

第97回講演会 北海道大学 吉野達彦准教授、名古屋大学 荘司長三教授

講演会名 第97回講演会 北海道大学 吉野達彦准教授、名古屋大学 荘司長三教授
開催日 2023.08.04
開催場所 産総研第5事業所第2本館 第3,第4会議室(5-2-6602、6603室)およびTeams配信
参加人数 35名
概要

◆高原子価第9族金属触媒によるC–H官能基化の進展

北海道大学大学院薬学研究院 吉野達彦准教授

講演者が北海道大学に着任して以降取り組んできた、有機金属錯体、とくに高原子価ロジウム・コバルトを活用したC-H官能基化反応の開発とその不斉化を主軸に講演いただいた。後半には遷移状態計算と機械学習モデル構築から不斉配位子の予測などへの意欲的な取り組みも紹介されており、若手の中でも傑出したアクティビティの高さを感じさせる講演であった。

吉野達彦准教授の写真

◆金属酵素を誤作動させる分子の開発と高難度物質変換

名古屋大学大学院理学研究科 荘司長三教授

講演者が10年にわたり一貫して取り組んできた、酸化酵素P450による認識範囲外にある分子すら、超効率的に酸化するための化学的コンセプト「デコイ分子」の紹介と、その昨今の一貫性ある発展について講演頂いた。制御された選択的酸化が難しいベンゼンや単純アルカン、昨今では最高難度標的の一つであるメタンなども変換可能になっていることが紹介され、シンプルながら強力な概念の発展により、今後ますますの応用拡張や実用性が期待できてやまない、大変に刺激的な講演であった。

荘司長三教授の写真