イベントレポート
第114回講演会 東北大学名誉教授 吉良満夫先生
講演会名 | 第114回講演会 東北大学名誉教授 吉良満夫先生 |
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開催日 | 2024.10.04 |
開催場所 | 産総研中央事業所5群 第4会議室(6603室) |
参加人数 | 38名 |
概要 | ◆安定シリレンの化学―ケイ素化学に魅せられて 東北大学名誉教授 吉良満夫先生 今回、有機ケイ素の化学で世界をけん引する研究を実施してこられた吉良先生をお招きし、講演会を実施した。炭素の二価化学種カルベンには、中心炭素を重い14族元素であるケイ素、ゲルマニウム、スズなどに置き換えた類縁体、シリレン、ゲルミレン、スタンニレンといった化学種が存在する。これらの化学種は、分子骨格平面内にある孤立電子対軌道(n軌道)をHOMO、面に垂直な空軌道(p軌道)をLUMOとする基底一重項電子状態をとるが、一般には不安定化学種である。吉良先生はメタラシクロペンタン骨格を持ち、二価元素に隣接する炭素上の4つのトリメチルシリル基によって立体保護されたシリレン、ゲルミレン、スタンニレンを初めて安定物質として創製することに成功した。これらの2価化合物は室温で安定に取り扱うことができ、特異な構造を持つ新規化合物に誘導され、理論計算や種々分析法と組み合わせることでその特異な電子状態が明らかにされた。講演では、シリレンなどの電子状態についての解説から入り、実際に安定シリレンを合成するまでのセレンディピティ―を含めたご説明、多種多様な安定シリレンの反応性などをご紹介頂いた。原理を解明してゆく研究の進め方、成果の考察方法を含めて、これまでのご経験を披露して頂き濃密な内容の講演会となった。 |