イベントレポート

合同講演会 第31回 食・触コンソーシアムワークショップ / 第6回 触媒化学研究部門

講演会名 合同講演会 第31回 食・触コンソーシアムワークショップ / 第6回 触媒化学研究部門
開催日 2025.10.14
開催場所 産総研中央事業所5群 5-1棟 2201会議室・Teams配信(ハイブリッド開催)
参加人数 会場 22名、WEB 16名
概要

◆『「酵素」と「最先端合成反応」の融合:汎用的合成手法による生理活性物質の網羅的合成』

◆ 横井 健汰 研究員
Department of Chemistry, Rice University

・講演者が博士研究員として取り組んできた酵素合成と化学合成の融合による合成化学研究について紹介された。立体選択的C-H酸化反応を起点とするラジカルカップリング型炭素骨格構築法により、医薬ビルディングブロックとして有用性の高い2置換ピペリジンの汎用合成法を確立している。特定の無保護基質に対して高い位置・立体選択性をもって官能基導入が行える酵素合成と、非天然ユニットを自在導入できる化学合成を組み合わせる本方法論に依って、従来よりも単工程で生物活性物質の合成が可能にある様が示され、新たな触媒合成法の潮流が解説された。これらの融合的手法が今後の創薬化学や機能性分子の開発にどのように貢献できるかについて、徴収と活発な意見交換・質疑が行われた。

◆化学–酵素合成と天然物骨格リデザイン

◆谷藤 涼 助教  東京大学 大学院理学系研究科 化学専攻 天然物化学研究室

講演者が学生時代~助教にかけて取り組んできた酵素合成と化学合成の融合による合成化学研究について紹介された。生物活性天然物は生理活性分子の宝庫でありながら、その構造の複雑さゆえに化学合成や誘導体化が困難である。講演者は酵素反応特有の多環骨格構築法を起点に、化学合成により簡便な天然物合成を達成するに至った。さらに「骨格リデザイン」という概念のもと、天然物の基本骨格を化学合成ベースで合理的に改変しながらも、その生理活性を維持・強化する新しい合成戦略が示された。さらに化学プローブの創出をもとにした環化酵素の立体構造解析までを示しており、生物と化学の融合における次世代合成化学の方向性について深い示唆が得られる内容であった。