イベントレポート

第45回講演会 北陸先端科学技術大学 谷池俊明准教授

講演会名 第45回講演会 北陸先端科学技術大学 谷池俊明准教授
開催日 2017.05.19
開催場所 産総研第5事業所第2本館第4会議室(5-2-6603室)
参加人数 34名
概要

固体重合触媒の構造性能相関

北陸先端科学技術大学  マテリアルサイエンス研究科

谷池 俊明 准教授

講演では、まず固体触媒の多機能性について触れられ、異なる有効成分の共存や粒子や細孔とった物理構造の設計によって、複雑な反応系の活性や選択性を高度に制御することが可能であること、しかし一方でそれを系統的に設計することはこれまでほとんど不可能であることを述べられた。次に、固体触媒の系統的な分析と構造性能相関解明に向けて取り組んだ研究事例として、汎用樹脂であるポリプロピレンの製造を工業スケールで担うチーグラー・ナッタ触媒の研究について述べられた。チーグラー・ナッタ触媒もまた、表面構造や化学組成が著しく複雑かつ不均一であり、系統的な設計と性能向上が困難である。しかし、実験結果を多面的に再現可能な高精度分子モデルを構築し、多変量解析に基づく構造性能相関解明を駆使することで、触媒分子構造と触媒機能を相関づけることに成功し、それをもとに高活性な触媒の創成を達成した事例をご紹介いただいた。触媒化学にデータ科学的手法を取り入れた先駆的な研究内容は、普段は知ることのできない内容であり、講演後の質疑・議論も活発に行われ、非常に有意義な講演会となった。

図1