イベントレポート

第91回講演会 東京大学 福島和樹准教授、大阪大学 大久保敬教授

講演会名 第91回講演会 東京大学 福島和樹准教授、大阪大学 大久保敬教授
開催日 2022.12.09
開催場所 産総研第5事業所 第2本館 第3・4会議室(5-2 6602・6603室)およびTeams配信
参加人数 30名
概要

有機触媒解重合を利用した縮合系ポリマーのリサイクリング・アップサイクリング
東京大学大学院工学系研究科 福島和樹 准教授

 

プラスチック廃棄問題への関心が高まる中、様々な高分子材料に対するケミカルリサイクルやアップサイクリング技術の開発が活発化している。福島先生は高分子化学における有機触媒研究について先駆的に研究を進められ、特にポリエチレンテレフタレート(PET)やビスフェノールAポリカーボネート(BPA-PC)などの含芳香族縮合系ポリマーの解重合について、波及効果の高い業績を残されている。本講演ではこれらの「有機触媒解重合」に関する内容について、触媒反応メカニズムに焦点を当てた内容とともに、最近の成果についてご紹介いただいた。質疑応答では、特に反応メカニズムについての活発な議論となった。

 

 

 

 

 

◆二酸化塩素のチカラ〜最強C−H酸素化剤〜
大阪大学高等共創研究院 大久保 敬 教授

 

二酸化塩素は古くはパルプの漂白剤、コロナ禍となった最近では除菌消臭剤の有効成分として使用されている。この二酸化塩素に光を当てて活性化させることでアルカンをはじめとする様々な炭化水素のC-H空気酸化が可能となる。例えばメタンガスと空気からメタノールやギ酸に変換する酸素化反応が常温常圧で進む。一方、ポリプロピレンやポリエチレンのような高分子材料の表面に酸素官能基を導入することができ、新しい機能を発現することができるなど応用範囲は広い。本講演では、二酸化塩素の利用に関わるきっかけから、メタンの活性化の意義、反応開発の詳細についてご講演され、さらには社会実装に至るまでの経緯についてもユーモアとともにお話しされた。