イベントレポート

第109回講演会 東京大学 安川知宏特任助教、名古屋大学 伊藤英人准教授

講演会名 第109回講演会 東京大学 安川知宏特任助教、名古屋大学 伊藤英人准教授
開催日 2024.04.25
開催場所 産総研中央事業所5群 第4会議室(6603室)
参加人数 32名
概要

◆窒素ドープカーボン担持触媒によるグリーン有機合成の開発
東京大学理学系研究科 安川知宏 特任助教

固定化金属ナノ粒子は、高い活性と物理的安定性を併せ持ち、高寿命な不均一系触媒として期待されるが、適用可能な反応例は限られていた。金属ナノ粒子に強く配位する担体を用いれば、活性種の活性化や安定化効果が見込まれ、より広範な有機合成に適用できると考えられる。本講演では、そのような”配位能を有する担体”として窒素ドープカーボンに着目し、ナノ粒子触媒の更なる展開を行っている研究についてご紹介いただいた。更に、窒素ドープカーボン担持単原子亜鉛触媒についても、これらを電極として用いた新規電解有機合成への展開に関してご発表を頂いた。質疑応答では触媒に関する議論が活発に行われ、今後の固体触媒研究への大きな寄与が期待される有意義な講演となった。

◆芳香環縮環連結における方法論の開発と新奇ナノカーボン合成
名古屋大学大学院理学研究科 伊藤英人 准教授

多環芳香族化合物やナノグラフェンなどの物質群はその剛直で直線的・平面的な縮環構造に起因した高い熱的安定性や、共役長の増加による魅力的な光物性、電子物性などを示すことから、機能性有機材料として注目を集めている。本講演では、これらの物質群を効率的に合成するための縮環連結法の確立に焦点をあてたAPEX反応、新奇芳香環ラダー分子、ラダーポリマー合成などについて、世界をリードする最近の研究成果をご発表いただいた。質疑応答では、単離・同定の難度や応用展開に関する議論がなされ、触媒化学融合研究センターの研究者に刺激を与える大変有意義な講演会となった。