第111回講演会 京都大学 山本旭助教、東京都立大学 宍戸哲也教授
講演会名 | 第111回講演会 京都大学 山本旭助教、東京都立大学 宍戸哲也教授 |
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開催日 | 2024.07.05 |
開催場所 | 産総研中央事業所5群 第4会議室(6603室) |
参加人数 | 25名 |
概要 | ◆operando/in-situ X線吸収分光を利用した均一・不均一系触媒分析 京都大学大学院人間・環境学研究科 山本旭 助教 X線吸収微細構造 (X-ray absorption fine structure, XAFS)は固体触媒の活性点の局所構造や酸化状態を調べるのによく使用される分析手法であるが、これまで錯体触媒の構造解析に利用された例は少なかった。ところが、山本先生らのグループでは東京大の西林先生らによって近年報告された高活性なNH3合成用Mo錯体の解析に本手法を応用し、反応中間体の同定や還元剤であるSmI2の構造解析に成功した。さらにはCO2を原料とするレッドクスフロー電池に使用されるIr錯体の解析や反応中の担持金属触媒の温度測定にもXAFSが有用であることを見出した。このようにXAFSを用いた均一・不均一触媒の解析事例5件をご紹介いただいた。 ◆金属リン化物による選択的CO2水素化 東京都立大学都市環境科学研究科 宍戸哲也 教授 逆水性ガスシフト反応(CO2+H2→CO+H2O)はCO2を反応性の高いCOに変換できるため、炭素循環社会を支える重要な反応といえる。ところが、既存の触媒を用いて反応を行った場合にはメタネーション(CO2+4H2→CH4+2H2O)が併発するため、高選択的にCOを合成することが難しかった。宍戸先生らのグループではRhP2/TiO2触媒を用いるとほぼ選択率100%でCO2をCOに変換できることを見出した。速度論的検討やXAFS等を使った触媒の構造解析より、リン化することでRhの電子状態がカチオニックに変化し、COのC-O結合の切断が抑制されたため、高選択なCO生成が可能になることがわかった。さらに、Rh以外の貴金属・非金属触媒でも同様のリン化処理で、高選択的なCO合成が可能になることも見出した。宍戸先生のグループでは現在も更なる触媒改良を進めており、本触媒の他のCO2変換反応への応用も期待される。 |